NOTE 10マスタリング約10分

音量感と、音楽の勢いを分けて聴く。

メーターは完成を決める採点表ではありません。大きさの情報と、歌の表情が残っているかを、別々に確かめましょう。

この章のゴール

LUFS・サンプルピーク・True Peakの違いと、リミットの副作用を理解する。

ピークとラウドネスは、違う情報

サンプルピークはデジタルのサンプル値の最大を見ます。True Peakは、再構成された波形のピークを推定する指標です。LUFSは知覚に関わる重み付けを含むラウドネスの尺度で、Integratedは測定した区間全体、Short-termは短い区間の傾向を見るために使います。

全曲のLUFSが同じでも、サビの押し出しや歌の聞こえ方は同じになりません。測定範囲とメーターのリセットを確認し、何の数字を見ているかを明確にします。

リミッターで、何を犠牲にしているか

リミッターはピークを抑えて出力を管理する道具です。入力を上げ続けると音量感が増える一方、子音が潰れる、低音に合わせて全体が揺れる、サビが歪む、強弱が失われるといった変化が起こり得ます。出力を下げた比較用の音でも聴き、単なる大きさの差を外して判断します。

FabFilter Pro-L 2やOzone Maximizerは製品例です。True Peak関連の設定、出力の上限、先読みやオーバーサンプリングなどは使用版の説明書を確認します。これらを有効にしても、あらゆる変換後の状態を無条件に保証するわけではありません。

特定のLUFSにそろえることを目的にしない

配信サービスのノーマライズは再生側の音量調整であり、その値が全作品の必須マスタリング目標になるわけではありません。曲のダイナミクス、音色、歪みと納品先の現在の仕様を見て決めます。この教材では万能のLUFS目標やTrue Peak上限を指定しません。

リファレンスと同じ音量で聴いたときに、自分の曲だけ息苦しくなっていないかを確かめましょう。元から強くリミットされた伴奏にさらに強い処理を重ねる場合は、とくにドラムの勢いと声の子音を聴きます。

静かな部分まで含めて判断する

曲頭、Aメロ、サビ、ブレイク、語尾まで聴きます。サビだけで音量を決めると、静かな部分のノイズや残響が思った以上に目立つことがあります。メーターの数字と聴こえ方が食い違うときは、いったん休憩して耳をリセットします。

Try it / 小さな実践

大きさを戻して聴き比べる

  1. リミッターへの入力を少しだけ変える。
  2. 比較用の出力音量をそろえる。
  3. 子音・ドラムの出だし・低音・強弱を聴く。
  4. 改善より副作用が大きければ入力を戻す。

実践時間・操作量は目安です。まず一つの短い区間で、聴き疲れる前に休憩を。

自分の耳で、確認しよう。

0 / 3 チェック

理解できたところまでで、大丈夫。

「確認済み」はいつでも取り消せます。

この章の公式資料

資料確認日:2026-10-16。本文は初心者向けに再構成した解説です。操作名は所有バージョンの公式説明を優先してください。

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